By Namichie
By Namichie
なみちえ/Namichie
-Kigroom Art Director
1997年、神奈川県茅ヶ崎市生まれ。
2020年に東京藝術大学先端芸術表現科を首席卒業。
在学時には平山郁夫賞、買い上げ賞を受賞。
音楽活動や着ぐるみ制作・執筆などマルチな表現活動を行うアーティスト。
ソロの他に三兄妹クリエイティブクルー“TAMURA KING”で活動。
1stアルバム『毎日来日』がASIAN KUNG- FU GENERATION 後藤正文氏が主催する「APPLE VINEGAR -Music Award-」2020にて特別賞を受賞。
Forbes 30 UNDER 30 JAPAN 2020「アート」部門選出。
初個展開催決定!
なみちえ
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開催期間:
2024年1月30日〜2月13日(10時〜19時) 土・日·祝定休
展示場所:
大阪府大阪市中央区南船場3-1-9 1F
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「鏡の中に自分がいなかった」
着ぐるみを来て鏡を覗いたら、自分が動くと一緒に動く動物が居た。
それは着ぐるみを着用すれば当たり前のことではあるが、アバターなどのデジタル以外で経験することはほとんどないだろう。
皮膚と脳は直結しているとする考えがある。皮膚とは体毛や触覚、痛覚など様々な器官を使って常に様々な情報を取得し、汗や体温、匂いなど様々な情報をアウトプットしている。自身の外観が変われば、脳も変わる。コスプレをすればいつもと気分が変わるのは当たり前のことだ。しかし完全に全身を覆うことは、シャーマンが土や毛皮や植物をまとって神になるように、動物的本能として儀式的要素を含んでいるだろう。
なみちえ氏が「本質」という言葉を使う時、それは近代史が作り上げた文化や価値観から見たモノやヒトの価値ではなく、宇宙的、地球的、生物的根源を捉えた上で、より包括的で多角的に捉えることを指しているようだ。
なみちえ氏は13歳から着ぐるみを独学で作っている。素材は父が持ってきた不用品など、還元性を意識していたようだが、それは形式的なSDGsや環境意識よりも、その先にある自然や動物へのリスペクトから来ている。
今回は彼女が過去に制作した着ぐるみの中から8点を展示。
普遍的とされがちな本質と、1秒たりとも物質的にも精神的にも同一性を保つことがない生物のズレと狭間に着目していただければと思います。
文:谷川純平